第2,914号・ブログ

《”ねぎたけ”こと・・・禰宜 猛(ねぎ たけし)です!♪》
「この春、社会人となった君に贈るメッセージ」 -35-

 

1カ月間、
苦労して作り上げた社内報が突然配布中止に。
毎月、
この日だけは定時に帰宅でき、
月の中でも楽しみな一日のはずが・・・・。

問題はあの写真だった。
大きくトリミングされた一番良かったと思ったあの写真。
会長社長以下、
役員クラスのところには、
毎月朝一番で新刊の社内報が届く。
この月も同じように・・・・。

そしてコトは副社長室で起きた。
副社長が新しい社内報を手に、
『そうかぁ~今月は専務かぁ~・・・・』と、
秘書と一緒にそのページをのぞき込むと、
副社長の隣にいた秘書さんが思わず・・・『キャぁ~!』と奇声を上げたという。
(これは後から聞いたことを再現した私の想像場面です・笑)
秘書さんは片手で口元を抑えながら、
副社長が大写しにされている写真を指さして、
『これぇ~・・・!』
その指先には、
あのお隣のご主人の姿が・・・。
それも・・・・、
確かぁ~・・・・
こちらを向いて、
怪訝そうな表情をしていたはずだったが、
使われた写真は、
その直後で、
お隣のご主人が振り向いた姿。
それも、
あわやズレ落ちそうな・・・
半けつまでいかないが”1/4けつ”状態(笑。
そういえば、
この写真に入れ替えたのは私自身だった。
専務のよりリラックスした表情をと、
この写真に最終校正の時に入れ替えた。

今ならこの程度は問題にもならないかも?
1980年代・・・。
まだまだ節度ある時代だったんでしょうかね。

『百貨店とは夢を売る職場だ。
そういう職場でこういう下品な写真の社内報は出せないだろ!』
これが急遽配布中の原因。
『まずい・・・このままいくと今月は休刊だ。
これまで歴任されてこられた
社内報担当の先輩方に申し訳が立たない』
(その歴代担当者の中には恩師のT課長も現人事本部長も・・・ダメだぁ~・・・終わりだぁ~)

まぁ~大げさにいうとこんな気持ちで奈落の底に落された気分。
各部署から戻される社内報を、
一人で寂しく積み上げていると、
ここに騎兵隊の援軍ラッパのごとく聞こえる電話が・・・。
それは、
人事本部席に社長からの内線電話だった。
『日経連から我が社の社内報が”全国最優秀社内報賞”を受賞したとの連絡があった。
今月号がまだ私の手元に来ていないがまだかな?』

ここでまたあのT課長に救われた。
『申し訳ございません今月号はチョッとした手違いで正式な発行は明日になります』
T課長はこんなメモを本部長の前に素早く差し出すと、
右手の親指を立てて私の方を振り向いた。
そして、
『禰宜!一緒についてこい!』(またかぁ~)。
そのまま副社長室へ走る走る。
『副社長その写真は直ちに修正し明日発行しなおします』
副社長は『治るのですか?それなら良いですよ』。

今みたいに簡単に、
写真そのものを拡大したり、縮小したりでき無かった時代。
印刷会社の職人さんの手でなんとか判らないように、
バックに写るお隣のご主人を抹殺(笑)。
社員は上手く修正された。
その晩、
私も含めた8名の人間が6,500冊を1冊1冊取組んで。
私もにわか技術を習って無我夢中でやったなぁ~。
もちろん完全徹夜だったのいうまでもない。

そして次の晩。
『禰宜!ついて来い!』
寿司屋のカウンターでまた大きな気付きをT課長からいただいた。
『禰宜!仕事をしていると自分では良かれと思ってやったことも報われないことがたくさんなる。
報われる報われないは問題じゃないんだよ。
今回はお前の詰めの甘さだ。
今はそのことをしっかりと”自覚”しろ!。
その”自覚”が必ず先に行って役に立つ!』
この晩の酒もまた、
悔し涙の混じる苦い味がした。
でも多くの人に助けられたチョッピリ甘い味も味わえた。

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