《”ねぎたけ”こと・・・禰宜 猛(ねぎ たけし)です!♪》「折れない心を作るには”感情”を物差しにするな!」-55-
”躁鬱”と診断された彼は、
その後も、
会うたびに満面の笑顔で私の前にやってきた。
そしてある晩、
二人で皇居のお堀端を歩きながら語り合ったことがある。
最初は、
どんな話をしている時も満面の笑顔。
そんな彼に、
『お前は出逢った頃、
まるで無表情で、
俺から”能面○○”って言われたのを覚えているか?』
『あぁ~覚えているよ!』(満面の笑顔)
『今はそれより酷いな!
あの頃はそれでも、
自分の心に素直だったよな・・・。
でも、今のおまえはその表情の中におまえがいない!』
『そうかなぁ~?(満面の笑顔)。
でもさ、
この笑顔でずいぶんと多くの人が近寄ってきてくれたんだよ。
みんな、
「Kさんの笑顔に元気づけられる!」
「Kさんの笑顔に勇気をもらえる」・・・って』
私はとてつもなく悲しい思いが込み上げてきた。
『その笑顔”はどこから出てくるんだ?』
こう尋ねると、
『今までの暗い自分を抜け出したいからだよ』
『それで抜け出せたのか?』
『・・・・・・』
あの時、
私達は55歳という年齢だった。
その55歳の男が、
この言葉の後、
小さな声で、
『実は・・・・一人になると疲れるんだ・・・
一人になるのが怖くて仕方がない時がある・・・・』
こういいながら、
その場に立ち止まり号泣した。
私はそんな彼の肩に手をかけて、
『やっと演じる自分から少し抜け出せたな』
こう声をかけた後、
二人で、
銀座のガード下で明け方近くまで呑み明かした。
あれから13年。
いま彼は、
鬱でもなく、
躁鬱でもなく、
自分らしく”素”のままで生きている。