《”ねぎたけ”こと・・・禰宜　猛（ねぎ　たけし）です」♪》
「未来はチョッとしたことで変えられる」　－70－

所沢を発車すると、
『あのぉ～私は次で降りますので・・・』
この言葉を切り出すタイミングを計っていたが、
なかなか良いタイミングが無い。

すると、
『君はいくつになるのかな？』
『はい！この3月で66になりました』
『そうか66か？🐇うさぎ年だな。
私と２周半違うね（てっことは・・・96歳）。
まだまだこれからだねぇ～』
『はい！そう思っております。
でも、
先輩は凛とされていらして、
とても96歳にはお見受けしませんね。
100年近くまで、
お元気で来られた秘訣は何ですか？』
こう尋ねると・・・
『”先輩”いい響きだぁ～。
そんな呼び方をしてくださったので、
チョッとしたコツだけお教えしよう。
それはねぇ～・・・
”自分を飾らないこと”
”無理をしないこと”
”他人と競わないこと”・・・この3つだね』

ついつい話に夢中になり、
気が付いたら、
『君は前の駅で降りるんじゃなかったのかな？』
『あっ！』
終着駅まで来てしまった。
そのまま、
ご老人の大きな紙袋を持って、
改札を出て、
階段下まで行ってあげると、
深々と頭を下げられ、
最後にこんな言葉をくださった。

『野に咲く草花は来年もまた咲くだろうが、
66歳という若さはもう2度と咲くことはない。
いま、
しっかりと悔いの無いように咲き誇りなさい！』

ご老人が乗られたタクシーを見送りながら、
気持ちよく、
酔いが醒めていった初夏の深夜だった。