《”ねぎたけ”こと・・・禰宜 猛(ねぎ たけし)です!♪》
「この春、社会人となった君に贈るメッセージ」 -32-
この水着コーナー事件の3カ月後に、
私は人事部内で社内報担当という職に就いた。
もちろん入社3年目部下無し。
人事本部長直轄の立場で、
従業員6,500名に向けた社内雑誌を毎月10日に発行しなくてはならなくなった。
校正とかいう言葉はもちろん、
印刷に関する知識もまるでなく、
当時は活版印刷といって、
ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットと、
全ての文字が一字一字彫り込まれた活字版を
定められた板にはめ込んで印刷していく手法で、
社内報の印刷自体は外部の印刷会社に任せていたが、
誤植(誤字脱字)が30数ページの雑誌の中に2個以内という厳しいラインも定められていた。
まさにデパートで働く人間としては裏方の裏方。
お中元やお歳暮の繁忙期などは、
記事を書くための取材すらままならず、
毎月毎月、
発行日の前夜は徹夜になることが多かった。
同期の仲間は、
どんどんと売場で流通業の知識と経験を積んでいき、
自分だけが置いていかれているような錯覚さえ覚えた。
現に、
昇格試験はそのほとんどが流通関係の中から出題され、
私は最初の昇格試験では2次選抜にも漏れるあり様。
当時の読み物というとほとんどが文字。
社内報もご多分に漏れず、
社長の月初の講話から、
最後の人事消息という従業員の動向ニュースまで、
ほとんどが8ポサイズという、
小さな文字で埋め尽くされていた。
だからほとんどの人は、
パラパラとめくって終わり。
読むのは自分の部署の知り合いが出ているページと、
従業員の動向が判る人事消息というページだけ。
私が毎月書いていた
”編集後記”などというお堅いページは、
ほとんどの人が読んではくれない。
でも人生というものは不思議なものだ。
そんな社内報担当の仕事が、
またまた私に大きなチャンスをもたらしてくれる。